頬に涙の跡をつけた景は、ライの顔を見つめて言葉に悩む
いろいろと考えて一言
「.....ありがとね」
たくさんの思いを込めてそう言うと、ライは景の頭を掴んでわしゃわしゃと撫でた
「わ、ちょっ」
「悪いな、混乱してる時に更に混乱させるようなこと言って。この話はまた今度、色々片付いてからだ。その時は俺も、もっとしっかり伝える。だから今日の事は、あいつらには言わなくていい」
景は少し気にしていた事を先にライに言われ、「そ、そっか.....」と頷く
黙っておく事には罪悪感があった
けど、私たちまだ.....
まだ、付き合ってるとかそういうんじゃない.....
今はそれよりも.....
ライは悶々とそんな事を考える景の頭の中を呼んだのか、スッと立ち上がると強めに
「.....だから!」
と腕を組んで景を見下ろした
「お前が混乱する事を見越して言ってんだ。余計な事は考えるな寮母。今はとにかく、爽馬と笠上美音と伊吹家、山積みになってるこの問題解決すんのが先だ」
景は怒ったようにそう言い放つライを見て、思わず笑ってしまった
「ふふふっ.....そうだね」
ライは私が誰よりも、爽馬やお姉ちゃんや伊吹家の問題に気が気でないことを分かってくれている
もちろんライだって気になって仕方ないだろうけど
伊吹家では、何か進展があっただろうか
みんな.....どうかな?
早くこの最悪な状況をなんとかしたい
景は強く頷いて立ち上がると
「そろそろ戻ろうか」
と、真剣な表情でライを見た



