「なるほどな。見た目からして西洋竜ってところか」


魔術科ジャンルなら景にも多少知識はある

先ほどからチャランポランだった頭も、この時だけはしっかりと働いた


竜.....

世界各地の神話でその存在が伝えられる、伝説的生き物


中国など、東洋

まして、夜刀神(ヤトノカミ)や倶利伽羅(クリカラ)など日本にも竜の伝説は存在する



しかし魔術科であることと見た目からして彼は、ライが言った通り西洋竜であるのだろう


イラストでよく目にする強そうなヨーロッパのドラゴン


彼の醸し出す雰囲気は、ドラゴンのそれに似つかわしく


肌は白く

長めのウェーブのかかった細く綺麗な金髪は、碧く燃えるような瞳を隠していた


高いスラリとした鼻と、西洋人であることを象徴したような彫りの深さ


テレビで見るモデルなんかより


断然「美しい」という言葉が似合い

「神秘的」であり「謎」や「闇」を秘めている


景はつい見とれていた自分に気づくと、いけない、と自分を戒めて彼に尋ねた


「質問です、どこの出身なんですか!」


質問を宣言してから尋ねる景に、ルークはフッと笑う


「おもしろいね、寮母サン。あんまり俺にも怯えてないみたいだし?」


「お.....怯え.....?」


確かに、初対面の人はその美しさゆえ、彼に話しかけるのに躊躇するかもしれない


景としてもそうだが、自分が寮母長をつとめる寮の生徒にそれはいかがなものか


と言うことで、単刀直入に尋ねたまでである


「ちょっと、景が聞いてるんだから質問に答えなよねっ」


満宵がマイペースなルークに指摘すると、彼は不快な顔をするわけでもなく、快く答えてくれた


「出身はドイツ。でもずっとアメリカに住んでたから母国語は英語。でも日本語もドイツ語も、親の影響でちゃんと話せるよ」


「すごい.....!」


景と共に、咲夜や市河も「へぇ.....!」と感嘆の声を上げる


ルークが驚く景に微笑みかけると、少しばかり景は頬を染めた