「そして笠上美音たちは、多分俺を警戒していた。
向こうから考えれば、景ちゃんと同じ学校の、しかも同じ魔術科の生徒がまるで景ちゃんみたいな小さなシベリアンハスキーを見れば、怪しむかもしれないって考えるだろうしね。.....まぁ景ちゃんは自分がワーウルフであることを学校ではまだカミングアウトしてない訳だけど。
それに、『Y』が俺が景ちゃんが寮母をする寮で暮らしてるのを知ってる可能性も高い。爽馬がその情報を漏らしていても、いなくても。
つまり、多分、笠上美音は俺に見られるのを恐れてたんだ」
結斗の話を聞いていた咲夜は、ため息を漏らしてつぶやいた
「なるほど.....怖いぐらい辻褄合ってるなぁ.....」
「うん.....」
この結斗の推測は、景にも間違っていないように思えた
今まで黙っていた市河も、腑に落ちたように頷く
「それが、今日実家に連絡せずにここまで来た理由か」
「そうだね」
結斗が家に帰ってくることがバレたら、美音にはまたあらかじめ逃げられてしまう
結斗が家に何も言わず、早急に実家に帰りたいと言ったのはそういう訳で
景は次々パズルのピースをはめていくように、今まで謎だったことの答えを見つけていった
結斗が私をここに連れてくることに反対しなかったのは
私がいないと本当に犬の正体がお姉ちゃんだって分からないから
『今すぐ実家に行きたい理由』を教えてくれなかったのは
多分だけど
結斗の推測が全くの間違いだった場合に、取り返しのつかない発言になってしまうから
そして、私を動揺させてしまうかもしれなかったから



