ところで結斗の話だが
これがまた景にとって、恐怖を突きつけるような話だった
姉含む全員に注目されながら話すのは、きっと辛かっただろう
内容はこうだった
「まず一番最初にY(爽馬たち侵入犯)が伊吹グループに侵入した日を思い出して欲しい。
あれ、凄く妙だなって話になったよね。オフィスフロアに侵入したと思ったら微妙なデータしか持ち出さなかった。勿論、うちのセキュリティも甘くないからそんな大きなデータを盗むのは無理だったんだけど。でも爽馬たちだって馬鹿じゃないから、それぐらい分かってたと思うけどなって、みんなで話したよね。
でも確かにダメージはあった。どんな小さな情報でも、流出っていうのは企業の信用に関わる痛手だ。
そこでセキュリティ強化として、伊吹グループの幹部.....つまり俺の親たちは、大切な情報の入ったパソコンやUSBメモリを家に持ち帰るようにした。これも確か、小高家に行く電車の中で話したね。
ここで昨日の話。俺が帰省するって、この家に連絡してからここに来るまでの間、笠上美音はこの家にいない。これは推測だけど、犬として飼われてる彼女は、深夜ならいつでも俺の父親が持ち帰っているパソコンのデータをコピーすることができた。それを隠しもちつつこの家から出たんだとしたら、その後に2回目の『本命』となる情報流出が起こってるはずなんだ。今、倒産間際まで株価が下がってる原因はその『本命』の情報流出のせい.....だと思う」
みんな、呼吸すら忘れて彼の話を聞いていた
爽馬たちがオフィスに侵入したのは、2度目の侵入を警戒することで、この家にデータを持ち帰らせるため
そして、それを犬に扮する笠上美音にコピーさせるため
確かに、辻褄が合っていた
爽馬と、お姉ちゃんがグル.....
不思議な感覚だ
さらに結斗は、こう付け足した



