「ここからは、俺の予想が正しくなければあんまり来た意味はないんだけど.....万が一の時のために迅速に行動したい」


全員を振り返って結斗はそう言うと、ポケットから自宅の鍵を取り出し、ドアの鍵穴に差し込みガチャリと回す


景はライの背中でそんな彼を見ながら、一体『万が一の時』がどんな時なのかを考えた


結斗の家に何かあるのだろうか.....

迅速に.....?


キィと音を立てながら開いたドアの向こうには、広くて清潔感が漂う、白を基調とした綺麗な玄関


「うわーただの金持ちか」

「ただの金持ちやな」


声を潜めて言う市河に、弥隼が頷く


結斗はそんな2人に苦笑いしてから、自分の後ろにいる全員を見て、口元に人差し指を当ててそっと言った


「声は出さないで家に上がって欲しい。玄関が開いた音に姉さんが気付いたから多分こっちにくる」


..........?

声を出しちゃ.....いけない.....?


景たちは結斗の言葉に不思議そうな顔をしながらも、彼の言った通りに靴を脱ぎ始めた


景もライに降ろされ靴に手を掛ける


見降ろすライの口が、〈ぬげるか〉と動き、景は笑顔になって二度頷いた