「こっち見んな」
冷たい視線を二人に向けるライ
背の高いライは、隣に座る景から見ると、まるで見下しているようでさらに怖かった
「いや見下してるだろ。咲夜と結斗を」
景の心を読み取ったのか市河はそうボソリと呟くと
「それより、実家の話聞かせろよ結斗」
と改めて彼に向き直った
「そうだね。実家に行って分かったこと、みんなには説明しておくよ」
そうして、先ほど帰ってきたばかりの結斗はまず爽馬を含む組織が伊吹グループ本社に侵入した事件の詳細から話し出した
「伊吹グループに侵入した爽馬とその仲間たちの関係性はよく分かってない。だからうちでは、妖術系統の人間である彼らを組織「Y」って呼ぶことにしてるんだ。
彼らが侵入したのは伊吹グループのオフィスビル。俺や伊吹グループの幹部である親戚の住居なんかもこのビルの中に入ってるんだけど、彼らが侵入したのはそのビルのオフィスフロアのみだったよ。
盗まれたのは伊吹グループに関しての情報で、例えば「談合」「脱税」そんな類の不祥事に関する情報。Yの狙いは『不祥事の情報』だった」
「談合?脱税?なんでそんな、ちょっとぬるい情報が欲しかったんだろうな。盗むなら、もっとこう、ガツンと」
咲夜の疑問に結斗は頷いた
「そう、どれも悪いことではあるんだけど、比較的色々な会社で行われていることで、大方それは罰金だとかその程度で解決される。それが大きい会社であればあるほど会社に守られて、それを起こした社員が逮捕に直結したりすることはほとんどない。
だから多分、短時間で盗む情報にはその軽度が限度だったっていうことなんだと思う。Yが求めてるのは、多分もっと大きな情報なんだけど、上手くいかなかったんだ」



