その週の金曜日
来週の文化祭準備に追われる生徒会の仕事を終えた結斗は、ケータイを片手にみんなより少し遅く帰寮した
「ただいま、みんな、景ちゃん」
「おかえりー」
「お疲れー」
「おかえりなさい、結斗」
「お疲れ様です先輩」
夕食の時間、ダイニングに集まっていたみんなが結斗を迎える
いつもなら彼は部屋で制服からラフな格好に着替えるのだが、今日は制服のままテーブルに着席した
「あれ、着替えないの」
咲夜がお箸をペン回しのごとくクルクルと回しながら、不思議そうに彼を見る
結斗はブレザーを脱いでケータイをYシャツのポケットにしまいながら口を開いた
「今日はここで夕飯を食べたらすぐ家に帰ろうと思って、今実家に連絡したんだ」
「あー、そっか。心配だよな」
市河が、結斗の言葉に顔をしかめながら頷く
「うん.....やっぱり、会って顔を見ておきたいのと、ちゃんと話を聞こうと思って。明日のお昼には帰るよ。景ちゃん、特別外出届.....貰えるかな?」
お茶の給仕をしていた景は彼にそう尋ねられ
「分かった。じゃあすぐにとってくる。みんな食べてて」
と笑顔を作った
「ありがとう、ごめんね」
「いやいや、久々の実家だし、ゆっくり行ってきて」
「.....うん。でもやっぱり景ちゃんといたいから、なるべく早く戻って来るね」
「ゆっくり行け」
眉をしかめてライが結斗を睨む
こんな状況の中の、いつもと変わらない光景
何気ない日々が本当はとても幸せなのだと、改めてそう実感しながら、景は特別外出届を取りにキッチンの奥にある寮母室へと向かった



