午後9時20分
エプロンを付けた景は、掃除をしようと男子寮Bの大浴場にブラシとバケツを持って入った
濡れた浴場を、ペタペタと歩く
「景ちゃんもしかして変態なの」
「ぇあ!?」
しかし目の前には、湯船に浸かって頬杖をつきながらこちらをジッと見ているライがいた
いつもこの時間に大浴場を掃除する時には大抵みんながお風呂に入り終わっているのだが
「ラ.....ライがまだ入っていたとは知らなんだ.....」
景は急に顔を青くして、一歩後退した
「俺が脱いだ服あっただろ」
浴場に木霊する、ライの声
「え.....あったかな.....あったかも」
「へー.....確信犯?」
「見てないんです、確認し忘れました申し訳ございません.....!」
景は従業員の如く頭を下げると、恐る恐る顔を上げてライの機嫌を伺った
怒っていらっしゃる.....!
ライは震え上がる景に髪をかきあげてニヤリと笑うと
「別に、一緒に入りたいならどうぞ?」
と首を傾けた
..........しまった!
格好のネタになってしまった!
「結構です!」
からかわれたことに少し怒った景は、そう残して急いで浴場を出ようとする
しかし
「わっ!」
「バカ.....!」
そう、ここは良い子は走ってはいけない大浴場
景はツルッと足を滑らせると、そのままコケてしまった



