その日の放課後
午後5時
帰宅した2年生の4人は
みんなどこか疲れたような顔で
それでも結斗が
そして今どこにいるのかすら分からない爽馬が心配で
共同リビングに集まっていた
「結斗ー、甘いもんでも食べる?」
「ありがと咲夜。でも今はいらないよ」
「そっか.....」
「あはは、何咲夜。そんなに心配してくれてるの?確かに驚いたけど、もう状況も飲み込んだし、あとは経営側の親族に任せるしかないからね」
「.....そうだけどさ」
景はそんな彼らの様子に心配しながらダイニングテーブルを台拭きで拭く
千冬と弥隼、そしてルークも何があったのか分かっているのだろうか、気を使って他愛のない雑談をしていた
情報流出のせいで伊吹グループの経営が崩れかけてるっていう噂ならもう、全校に広まってるだろうし
不法侵入者の1人が以前この寮にいたってことも、噂で聞いたりしたんだろうな.....
「ただいまーっ」
「ただいま」
「あ、お帰りミヨちゃん、千加君」
景は最後に帰ってきた満宵と千加の2人を務めて明るく迎えるが
さすがに2人もこのピリピリとした空気に気付いたのか、あれ?といった顔をした
もしかしてこの2人は.....噂、あんまり知らないのかも
景がそう思った時
口を開いたのは千冬だった
「遠慮して言わないのも違うと思ったんで、言いますね」
その言葉に、2年生全員は千冬を見る
彼は2人に向き直ると
「今日、伊吹先輩の家の方々が経営する会社に、不法侵入者が複数名入ったという情報があったんだ」
と、どうしてこのような空気になっているのか説明した
「あぁ、そっか。そんなことクラスの人が話してたかも。ありがと」
満宵は気を使ったのか、それ以上は気にする様子を見せず軽く頷く
しかし、千加はあぁ、と頷くと
「そういえば」
と思い出したように口を開いた