確かに


彼女の制服のスカートは乱れ

少しばかり怯えた目をしている


この関西弁と外国人の長身タッグに迫られたら、怖くないはずがない


「もういいでしょっ。それくらいで許してあげなよ」


満宵はそう言って弥隼とルークの背中をパシンと叩くと、彼らから解放された女子生徒の背中を支えた



「ふ、ふぅ.....」


彼女は胸を撫で下ろし、満宵を見る


「あっ、あのさ。もう許すけど.....君もちゃんと反省してよね」


あまりにも女子生徒がキョトンとした目で自分を見るので、満宵はビクリとしながらそう言った


自分のしたことを図々しく水に流すつもりなのか


彼女は満宵の言葉に「あ、うん.....」と少しおかしそうに頷くと、「えっと.....」と口を開いた



「今は.....もしかしてこの花を見ていたんでしょうか?」


「そうだけど」


女子生徒は頷く千冬をパッと見ると「本当に!?」と目を輝かせる


さっきからなんなのだこの子は


そんな5人の視線も気にせず、彼女が

「可愛い花だよね。マーガレットとか、ペチュニアとかナデシコとか」

と言うと、千冬は「えっ」と彼女に近づいて「それ.....ここに咲いてる花の名前.....」と呟いた



「そう!.....春の花って、結構育てやすいし比較的安く買えちゃうのに、こうしてみんな綺麗に咲くから嬉しいっていうか」


女子生徒がそう言って花壇脇にしゃがみこみ、鮮やかな紅い花弁をサラリと撫でると、千冬はその横にしゃがみ込んでとある花を指差した


「僕、だからパンジーとか好きなんだ。ありふれた花かもしれないけど、逞しくて、凄く綺麗に咲くでしょう」


そんな千冬の言葉に、女子生徒は笑顔で頷く


そして、そのパンジーの後ろに咲く花を指差した


「それはパンジーだけど、こっちの列はビオラ」

「なるほど、パンジー、ビオラと交互に植えてあるのか」

「そうそう」


そんな二人の会話に、つい満宵と弥隼、ルーク、千加も聞き入ってしまう


「これ、似てるけど同じ花じゃないってとっ?」