「「きゃあぁあ〜〜っ!!!」」
その時、廊下のほうからすざまじい歓声が聞こえた。
女子たちの黄色い声。
ギャラリーまでできてる。
私がパッと目をやると、そこにはあの男がいた。
「あっ、この騒ぎは…翼くんだね」
詩織も見慣れた様子で。
今通りかかった男は、うちの学園の王子様とか呼ばれてる、黒瀧翼(くろたき つばさ)。
”男版の私”、なんて言われてて、女子の間じゃ知らない人はいないくらい有名なの。
なんでも超絶イケメン、頭脳明晰、スポーツ万能、親も超大手企業のトップ。
うちの学校の女子はみんな彼を狙ってるって噂。
…私は気に食わないんだけどね。
あんまり話したことないからよく知らないけど、いつもテストで学年1位を競い合ってるし、目の上のたんこぶ的な存在。
きっとナルシスト男に違いない。
いつもスカしてるのもなんだかムカつくし。
私は絶対みんなみたく、騒いだりしたくない。
唯一認めるのは、顔がイイってところくらいかしらね。
頭はきっと私のほうがいいはずだし…!



