ーーガチャ。 部屋のドアを開ける音。 私はとっさに目をつぶる。 すると翼くんらしき足音が、こちらへゆっくりと近づいてきた。 近くまで来るとほんのりと香る、彼のにおい。 なんだか安心する。 翼くんはベッド横にしゃがみ込むと、ふぅ、と静かに息を吐いた。 「…なんだ、やっぱ寝てるか。 残念」 そう言われて少しドキッとする。 …だ、大丈夫よね。 寝たふり、バレてないわよね…なんて。