でもなんだか素直になれない。


だって……



「帰らない」


「えっ?」



白百合さんといる彼がとてもお似合いで、

楽しそうだったから。



「今日はもう練習で疲れたから、羽山を呼ぶわ。

車で帰る」



あーあ、可愛くない私。


誘ってもらったり、優しくされたって、

こうやって何一つ素直に返すことができないの。



すると翼くんは心配そうに私の顔を覗き込んで、



「…そっか、わかった。

大丈夫か?モモなんか顔色悪いぞ」



私の額にそっと手を当てる。



ーーどき。



だけど私はすぐにその手を払って。



「…だっ、大丈夫!

それじゃあまたねっ!」


「あ、ちょっと、桃果!?」