「やっぱり翼くんと彼女が仲良くしてるのが嫌なんだ?」


「ち、違うわよっ!私はべつに…」


「ほんとかなー?」



…うぅっ。



確かに翼くんにベタベタしてるのはすごく嫌だったんだけど…そんなこと言えなかった。


なんで私がヤキモチなんて…


妬かなきゃいけないの。



すると後ろから楽しそうな声。



「あははっ。うん、そうそう。あそこのセリフ難しくて。

それに恥ずかしいよね」


「あー、だよな。俺もすげー恥ずかしい」


「ふふ、でも黒瀧くんも同じ気持ちならよかったぁ」



えっ…?



可愛らしい高音ボイス。


チラッと振り返ってみると、そこにいたのはやっぱり白百合さんだった。



ウソ、ずっと一緒にいたんだ…。


なによ、仲よさげに。



だけど翼くんは私の姿を見つけると、



「あっ、モモ」



すぐにこちらへ駆け寄ってきた。


いつもどおり笑いかけてくる。



「よかった、もう帰ったかと思った。

一緒に帰ろうぜ」