芸術祭は普通の学校の学園祭とは少し違う。


芸術というだけあって、芸術関係に焦点が絞られる。


個人による美術作品、部活による展示や出し物、そして各クラスのステージ発表。


それらで賞を競い合うのが毎年恒例となっていた。



だけど一番の目玉は、なんといっても学年選抜による演劇。


これは各学年ごとに行い、選ばれた人だけしか出られない。


しかもオーディションではなく、生徒間による人気投票。


だからこの劇に出る人たちはある意味学年のスターで、出られること自体がとても名誉なことだった。


それが主役ならなおさら。


主役を演じた男女は毎年プリンス、プリンセス、なんて呼ばれて崇められる。


みんなの憧れの的として認められた証拠。


だから負けず嫌いの私は、なんとしてでも白雪姫の主役を勝ち取りたいと内心燃えていた。