するとどこからかピアノの音が流れてきた。
〜〜♪
まるでピアニストが弾いてるみたいな美しい音色。
私とは比べものにならないくらい上手。
「ほらこれ、葵が弾いてる。
ピアニスト志望なんだ」
「へぇ、すごい…。
上手ね…」
「安心した?」
「…えっ?」
…なにそれ。
黒瀧くんはからかうようにニッと笑ってみせる。
まるで私が誤解してヤキモチ妬いたみたいな言い方。
「…べ、別にっ!
元カノでも全然構わなかったけどね!」
とかいいながら、本当はちょっとホッとしてたりして。
元カノじゃなくてよかったって。
やっぱりおかしいわ、私。
変なの……。



