偽悪役者

「だが、痴愚思以外にも手足はいるんだろ?嗅ぎ回ってたのは痴愚思なのか?」


「それに、痴愚思が探してたのが2人とは限らないんじゃないですか?」



「間違いありません。季更津と一番信頼関係のある半グレは痴愚思だと、複数のチンピラが証言してんだよ。だから柊、黙って聞いてろ。」



卍擽は厄塒に報告していたのに横から口を出されたので、語尾は静音への文句となってしまった。



「痴愚思の線で追うか。そのキャバクラ、明日聞き込みに行くか。柊、お前は面が割れてるかもしれん。逢沢兄妹の行動を探れ。」



「分かりました。」



「痴愚思に面が割れてるってどういう意味だよ?!」


「説明してやるから、突っ掛かるな。」



静音へ噛み付く卍擽を引きずるようにして、厄塒は会議室へと消える。



「なにあの態度。疑問を言っただけじゃない。っていうか、それまで黙って聞いてたし!」



卍擽に言われた言葉が、今沸々と怒りに変わる。


厄塒は引き際を知っているが、卍擽は引くなんてことはせず、押せ押せとばかりに静音に向かってくる。



静音と卍擽、本部と所轄同様、目指すところは同じなのになかなか噛み合わない。