偽悪役者

「でも荒らした覚えなんて、全くないんですけどね。」


「美人局か売春でもやってたんじゃねぇか?10年前とはいえ、組対が把握してたぐらいだからな。」



静音達の行動が邪魔になるとすれば、それくらいしか思いつかない。


組対情報なら尚更だ。



「で。お前は本部と、どうなんだよ。」


「どうって……それ、厄塒さんに関係ないじゃないですか。」


「ある。俺はお前の先輩で、指導係だ。」


「意味が分かりません。」



「ちっ。」


「(舌打ちって……)」



厄塒達所轄と本部の仲は、あまりよろしくない。



本部は、所轄の捜査がぬるいだの甘いだのと言ったり、手柄を横取りしたり、所轄だからと見下したり。


所轄は所轄で、本部は現場を分からないエリートだからと端から敬遠したり、聞き込みで本部の上からの物言いに対して地元住民からの苦情を処理したり。



お互い様なのだが、噛み合わない。



そんな本部の人間が、すんなりと所轄である静音の頼み事を聞き、しかも調べて直接報告をくれるなど、厄塒には信じ難かった。



まあ、静音の過去話を聞いた時も、同じぐらいの心境だったが。