偽悪役者

「あとな、静音。」


「うん?」



シミュレーションの雰囲気から一変して、真剣な顔をする莉央。



「警官のとこ行ったら、信頼出来る奴を探せ。」


「どういう意味?警察官なんて信じちゃいけないでしょ?私達を捕まえる方なんだから。」



未成年でこんなことをしている自分達の話を、まともに取り合う訳がないと静音は思う。



実際、母親の病気のことだって子供だからという理由だろう、担当医からも看護師からもあしらわれてきたのだ。



母親には、自分といる時ぐらい病気のことを忘れて欲しくてほとんど話題に出さず学校の話ばかりしていた。



亡くなってからの色々な手続きも、役所の職員が説明も無いまま知らず知らずの内に進めていて、いまだに詳しいことは分からない。



2人と離ればなれになるということ以外は。



「だからだ。警官じゃなくてもいい。静音の話、ちゃんと聞いてくれる奴だ。俺達が悪役になったところで、静音の話を信じてくれる奴じゃなきゃ、意味がない。」



「そうね。静音なら見付けられるから。」



素行の悪い自分達は無理だが、利用されていた無名の静音なら、大人は同情し信じてくれるはずだ。