偽悪役者

「よし、確認するぞ。まず深緒か静音が男に声かけて、食事かホテルに誘う。ホテルに行ったら男に先にシャワーを浴びろと言って、その間に財布を持って逃げて来る。俺はその間後ろから見張り。何か言われたら逃げるか未成年って言え。男はビビるから。」



静音が莉央と深緒の2人と一緒にいるようになってから、1年が過ぎた。



「莉央にぃ、毎回毎回言わなくても分かるよ。何回も聞いたから。」


「だって心配じゃんか。」



「このやり取りも毎回ね。」



莉央は誘う対象の男から見えないようにしないといけないので、ある程度離れなければならない。


いざというときの距離感が心配らしい。



ただ、静音も深緒も耳にタコができるほど何回も聞かされてきた為、今では面倒この上ない。



しかし、この教訓が役に立つ時が訪れる。


20代ぐらいの、とあるサラリーマンを誘おうとした時のことだ。



「お兄さん、今から帰るの?私と食事しない?」


「……キミ、未成年だよね?まさか小学生?どんな事情があるかは僕には分からないし知らないけど、こんなこと、しちゃいけないよ。今すぐ止めるなら見逃してあげるから、お家に帰りなさい。」