偽悪役者

「でも、シノさん言ってくれたでしょ?色々言われても俺達がいるって。だから、気にしないことにしたの。心配しなくていいよ。」



重苦しい空気を変えようと、静音は努めて明るく言ったのだが…



「だったらなんで俺達に言ってくれなかった!?」


「先輩っ!落ち着いて下さい。」



凶悪犯にぐらいにしか怒鳴らない篠宮なのだが、静音のことでは抑えがきかなかった。


普段暴走しがちな要の方が今は冷静だ。



「……今まで親代わりを自負してきたが、今更ながらお前のことが分からなくなった。」



やりきれない思いが篠宮を支配する。



「先輩……静音、捜査中の忙しい時に呼び出して悪かった。とりあえず今日のところは…な?」



「………うん…」



怒鳴られたことで動揺しているだろう静音と冷静さを失っている篠宮、これ以上話し合いは無理だと判断し要は帰宅を促した。



「はぁ…………俺は何をやってんだ……」



静音と要が出ていった後、篠宮は一人になったことでいくらか気持ちが落ち着いた。


それと同時に、話も聞かず怒鳴ってしまったことの後悔が押し寄せ、親代わりという立場に甘んじていたんだと自覚した。