偽悪役者

静音が地域課に配属されて半年、法務教官から保護観察官へとなった翁から篠宮へ電話が入った。



「行方不明?!逢沢莉央と逢沢深緒がですか?」


『ええ。退院してから一応報告はきていたのですがね。それがパッタリ途切れたんで、家を訪ねたらもぬけの殻でして。』



2年前に退院予定だったが、騒動を起こして延期になったのだ。



ようやく退院し大人しくなったと思っていたら、これだ。と翁が電話の向こうで頭をかかえているのが声だけでよく分かる。



『絣乂さんから聞いていますが、静音ちゃん警察官になったそうで。大丈夫とは思ったんですが、接触するかもしれませんので連絡をと。』


「わざわざありがとうございます。静音にも気を付けるように言っておきます。」



少年院でのことは分からないが、相当酷かったのだろう。


そんな2人と静音を会わせるわけにはいかない。



「静音は頑張ってるんだ。今更、過去を蒸し返されてたまるか。」



静音は今警察の寮に住んでいて、要と共にたまに会うぐらい。


しかし、たとえ過保護と言われようとも、静音には前だけを見ていて欲しい。


そう願う篠宮の顔は、父親そのものだった。