偽悪役者

「自分が犯罪者で償いたいから警察官になりたいと、静音ちゃんは思ったわけじゃないだろ?」


「…うん。」



「俺が言うのもなんだが、静音ちゃん達の誘いに乗る大人の方が悪いんだ。悪いことは悪いと、止めてくれる大人がたくさんいればいいんだがな。」



世の中には誘いに乗ってしまう大人がいるのが事実だ。



「静音ちゃん、償うのも大切だ。だけどな、静音ちゃんが、楽しいと、嬉しいと、幸せだと、そう思うことの方が大切だ。少なくとも、俺達や絣乂さん達にとってな。それは分かってくれるか?」



「っ…うん…」



「良かった。それとこの先もし警察官になったら、ならなくても色々言ってくる人がいるかもしれない。だが俺達がいる。だから気にするな。静音ちゃんは、俺達の大切な家族だ。な?」



「…ぅ、ん……」



「気付かなくてごめんな。もう悩まなくていいからな。」



出会ってから初めて見た、泣いている姿は少し幼くて。


見つめる眼差しは、警察官ではなくまるで父親のようで。



小さな体を抱き締め、赤ん坊をあやすように背中をトントンと優しく叩きながら、静音が泣き疲れて眠ってしまうまで篠宮はそうしていた。