偽悪役者

「篠宮さんは警察官ですし審査は問題ないと思います。資格は必要なく研修を受けるだけですし、養子縁組と違って戸籍も変わりません。」



一時的に暮らす場所が変わるだけ、それが養育里親の利点だ。



「確かに私は静音ちゃんと暮らせたらいいとは思いますが、このこと静音ちゃんは…」


「まだ言っていません。調べてみると言っただけなので。ですから、ただの提案です。」


「提案?」


「はい。養育里親は18歳までの制度なんです。もうすぐ中学を卒業しますから、いい機会かと。ですが、私が決めることではありませんし、静音ちゃんに話す前に篠宮さんにと思いまして。」



人を一人育てるということは、赤ん坊の様に手のかからない中学生だとしても大変なことだ。


静音に話して期待させてしまうより、絣乂はまず篠宮の気持ちを聞きたかった。



「静音ちゃん、施設にいるより篠宮さんといる方が楽しそうで。帰ってきても、学校の話より篠宮さんの話ばかりなんですよ。」



絣乂が鮮明に思い出せる、篠宮の話をしている時の静音。


その顔はどんな時よりもキラキラしていた。



「一度、考えてみてくれませんか?お願いします。」