偽悪役者

莉央はその間、見張り役と用心棒役、逃げ道の確保らしい。



「じゃあ、財布を盗った後は?」


「逃げる。男の人を誘う時は、お化粧と髪の毛をセットしてもらってたから、もう一回会っても分からないから大丈夫だって言ってた。」



「財布を盗っただけで、男の人には何もしてないし何もされてないんだな?」


「うん。ご飯食べたりしたけど、それ以外は何もない。」



「そうか。」



話を聞く限り売春というよりは窃盗。



身体で稼いでいた訳ではないようだが、邪な男の下心を利用した悪質な手口で、部類としては美人局の一歩手前だ。



ホテルに連れ込まれて財布を盗まれたなんて分かっても、相手が未成年ならば罪に問われるのは男の方である。


被害届が出ないとふんで、莉央と深緒は計画を立てていたようだ。



「よく話してくれたな。」


「…あの2人はどうなるの?」


「あー、まあ、大丈夫だ。規則正しい生活をするだけだから。」



不安そうな静音を安心させるように頭を撫でる。



「後はおじさん達に任せなさい。」


「うん。」



大方の話は聞けたのでここで切り上げて、冷めたお茶を入れ直した。