「何ってナニ?お巡りがでしゃばることじゃねぇよ。」


「そっ。あたし達は、この子に教えてただけ。女を武器にすればお金持ちになれるよってね。」



「…そういうことか。要、その子を車に。」


「了解です。」



安全の為、静音を覆面パトカーの後部座席に座らせた後、応援を呼んだ。



その間にも篠宮は、莉央と深緒に質問を繰り返す。


しかし、2人は篠宮を無視して薄ら笑いを浮かべたまま、逃げることもなく新しく出来たカフェや流行りの音楽について喋るだけだった。



「名前、何て言うのかな?」



10分後、応援が到着し莉央と深緒は別のパトカーで別々に聴取され、静音も女性警察官に質問されていた。



「篠宮さん、あの子何も話しませんね。どうしましょうか。一旦、署で保護しますか?」



「そうだな…。要、そっちはどうだ?」


「駄目です。」



莉央と深緒は1人になっても先程と態度は変わらず、静音も震えているだけだ。


せめて名前と連絡先が分からないと、親に迎えに来てもらうことも出来ない。



3人は身分を証明するような物は持ち合わせておらず、所持品は莉央の数千円と深緒の化粧品だけだった。