「大丈夫ですかね?風邪ひかないといいですけど。」



「いや、あれは絶対嘘に決まってるッスよ。橘が変なこと言うから。」



「わ、私のせい!?……篠宮さん~」



自覚が無い橘だが突き刺ささってくる視線が痛くて、篠宮に助けを求める。



「橘のせいじゃない。神経質になってるだけだ。」


「3年前のこともあるし、今は無理に聞かない方が得策ですね。」


「意外に頑固だからな。」



篠宮と要は、過去の静音を思い出して苦笑いを浮かべる。



「3年前って、確か所轄の刑事課にいた時ですよね?」


「そうそう。ヤクザの組の幹部の逮捕に貢献したとかで、巡査部長に推薦されたって。」



「かなり噂や話題になりましたからね。ペテン師夜鷹がやりやがったって。」


「なんですかそれ?聞いたことないんですけど。」



椎名と幡牛が思い浮かべるのは静音の功績だが、来栖が言ったことは真逆の批判的なもの。


そんな聞き覚えのない言葉に、橘は眉をひそめる。



「刑事課では有名な話だ。まあ、対外的なことと年齢の関係上、警察内部でも知ってる人間は限られる。そうですよね?篠宮さん、要さん。」