偽悪役者

「結局、現れませんでしたねー。」



18時20分。



宴もたけなわの同窓会は、あれから何事も無く14時に幕を閉じた。


ホテルのスタッフに怪しまれない様に片付け等も行ってから、2係に戻り一息つく。



岨聚も無事に帰宅したと連絡が入り、良かったのか悪かったのかと、橘は項垂れる。



「脅迫状の内容が、迎えにいく、だからな。油断は出来ん。」



都澄は、次の手を考えなければならないと思考を巡らす。



「皆さんお疲れ様でした。お茶どーぞ。」


「クッキーもあるから、好きなの取ってくださいな。」



遁苺がお茶で、幡牛がお手製のクッキーで、それぞれ1日を労う。



「幡牛さんの趣味がお菓子作りなんて、何か納得いかないッスよね。遁苺ちゃんなら分かるのに。美味いけど。」



「褒めてんのか貶してんのかどっち?文句があるなら食べなくていいわよ。」


「いえいえ!ぜひ頂きます!」



取り上げようとする幡牛から、羮芻は2係の癒しの元であるクッキーを風の様な速さで死守した。


羮芻が考えるビジュアルにピッタリな遁苺だが、生憎料理は苦手らしい。



「柊さん、大丈夫ですか?疲れました?」