「ねえねえ、柊。駅前に新しいお店が出来たらしいんだけど、今日行かない?」


「それ昨日も聞きました。」



椎名と話してからというもの、毎日毎日熱烈なお誘いを受ける静音は今日もバッサリと切り捨てたのだが…………。



「昨日とは別のお店。開店直後から満員御礼だって。」



「ミーハーですね、椎名さん。」


「柊と行くのだからね。やっぱりそれ相応のとこじゃないと。」



いいなー私も行きたいなー、なんて橘は呑気に言うが、毎日言われ続ける静音にとってはたまったものではない。



「なんなのあれ。前より酷くなってない?」


「よく分かりませんけど、酷くなってることは確かですね。」



椎名の勢いに押され、ついでに巻き込まれたくないので、幡牛と遁苺は小声で話す。



「あ、のっ!好きになる努力をするって言いましたけど、鬱陶しいし、毎日毎日重たいんですよ!過剰な表現は、シノさんと要さんだけで十分なんです!いい加減、気付いてください!」


「怒った柊も可愛いなぁー」


「あれは重症だな。」



我慢の限界がきた静音は声を荒げるが、にやけた椎名にはどこ吹く風。


呆れる仁科も目に入らないようだ。