偽悪役者

「莉央にぃと深緒ねぇといた時に、20代ぐらいのサラリーマンを誘った時があって。でもそのサラリーマン、私の誘いに乗らずに注意したんです。こんなことしちゃいけないって。でも私逃げちゃって。」


「……えっと…、話が見えないんだけど、そのサラリーマンと僕とが何か関係あるの?」



謝りたいと言いながら、いきなり夜鷹時代の話。


椎名には全く意味が分からない。



「やっぱり椎名さん覚えてないんですね。まぁ、私に告白するぐらいだから覚えてないとは思ってましたけど。」


「え?どういうこと?」



「そのサラリーマン、椎名さんなんですよ。」


「え?え、ええー!?」



衝撃の言葉に椎名はかなり驚くが、静音は椎名の反応が面白かったのかクスクスと笑いっぱなしだ。



13年前に出会ったサラリーマンに、まさか警察で会おうとは。


ただ椎名は覚えておらず告白までしてきたから、静音は二度も驚いた。



「驚き過ぎですよ。まぁ、深緒ねぇに化粧とかして貰ってたんで、私だと気付かなかったのは無理もないですけどね。」



未成年に見えないようにして貰っていたはずだが、椎名は未成年どころか小学生とまで言い当てた。