偽悪役者

だから、の意味が分からない。


鏡鵺は岨聚に、そんなに愛されたいなら愛してやる、みたいな歪んだ愛があることを伝えたかったらしいが、静音と玲斗、そして岨聚本人にもその意図はまったくもって伝わっていなかった。



「それにしても、殺すってとこまで見抜くなんてね。でも、私の為とか、終わらせるとか。2人共、よっぽど私を殺したかったみたいね。」



むくれながら少し強い口調で言う静音に、鏡鵺と玲斗は狼狽える。



「し、静音を殺したかった訳じゃない!だけど、岨聚は目を覚まさないし、警察には疑われるし、俺達のこと言ったって信じてもらえないだろうし。だから後々迷惑にならないように、仕事の引き継ぎも済ませたし、今日、いっそのこと…何もかもって……」



「ぼ、僕が終わらせると言ったのは、あの時からのギクシャクした関係だよ。みんなあの時から上辺っていうか表面的っていうか。僕が転校してすぐみたいな、楽しかった感じに戻りたくて。だから、始まったこの場所で、また始めたかったんだ。鏡鵺のことも話したかったから、誰にも聞かれない屋上はぴったりだと思って。静音が警察から疑われて捜されてるって知ったから、まず静音と話そうと……」