偽悪役者

「玲斗…、終わらせるってどういう」


「「静音っ!!」」



意味が分からず尋ねようとしたら、自分を呼ぶ声が2人分聞こえた。


もちろん1人は玲斗だが、もう1人は…



「鏡鵺……?」



この場にいるはずのない鏡鵺だった。



「ぃっ……」


「玲斗っ!」



片膝をついた玲斗に駆け寄る静音が見たのは、押さえる左腕から滲む血と、刃先から血が落ちるナイフだった。


どうやら、襲おうとした鏡鵺から玲斗が静音を庇ったようだ。



「(どうなってるんですか、これ?!)」


「(千影鏡鵺は、卍擽さんが尾行していたはずでは?)」



橘と椎名はパニックに陥っていた。


屋上へのドアの隙間から静音と玲斗の様子を窺っていたのだが、突然死角から鏡鵺が現れたのだ。



「(分からない。だが、この状況は…)」


「(まずいな。どうする?)」



来栖と篠宮は、なんとか冷静に考えようとする。


しかし、追尾の為に防具や武器の類いを所持してはいない。



「(とにかく、要に…)」


『(こちら羮芻。千影鏡鵺が行方をくらましたっス。)』



篠宮が連絡を入れようとした矢先、羮芻から一報が入る。