偽悪役者

「綺麗…、初めて見たけど。」


「だね。僕も初めて見たよ。」



屋上から見える住宅街の明かりは、夜景スポットとは違う優しい灯りだ。



「…話って何?ここに連れて来たのにも何か意味があるんでしょ。まさか、夜景を見せる為になんて言わないよね?」


「うん、言わない。」



悲しげに微笑む中に、強さがあった。



「ここで出会ったんだよね、僕達。」


「お父さんの仕事の都合で転校して来たのが、確か小3だっけ。」


「うん。そして、ここから始まった。」



小学校からの持ち上がり生徒がほとんどの詠継祇ヶ丘中学校。



静音、岨聚、鏡鵺、雅、琅提。


小学校の入学式から同じメンバーに玲斗が加わったことで、様々なことに変化が生じた。



ただ、良いことなんて一つも無い。


悪いことだけが集まり続けた。



「僕達は間違ってたんだ。ずっと分かってたのに。自分可愛さで逃げて、見ないふりして。静音が傷付いてたこと、知ってたのに。」


「玲斗………」



幼過ぎた、あの時の何もかも。


そのすべてが。



「もう逃げない。ここで終わらせる。」



そう言うと、玲斗は静音へと近付いた。