「だけど椎名さん、積極的ですよね。」


「何がですか?」



コーヒーを口にしながら、呆れたように厄塒は切り出す。



「柊のことです。俺と同い年なのに、よくあそこまで出来るものだと思いまして。」


「え?ああ…。惚れた弱味、ですかね。」



「今回は辛抱強いというか、諦めが悪いというか。」


「柊さんいつも容赦無いですもんね。」



静音を思い出したのか、はにかむ様に笑いながら頬をかく。


そんな椎名をからかう様に幡牛と遁苺は言う。



「最初は一目惚れだったんです。でも、何だか放っておけなくて。あしらわれても、話せただけで良いかなって。」


「(中学生かっ!)」



椎名ののろけに、卍擽は何とか口に出すのは抑えたが、コーヒーを危うく吹きこぼしそうになった。



「でも今回のことで、僕は柊のこと何も知らなかったんだって分かりました。」



「昔から隠し事だけは上手かったからな。」


「自分と関わりのある人に関しては特に、ですよね。」



出会った頃からそうだった。



母親の為に、莉央と深緒の為に、静音は篠宮や要に対して必死に隠し通した。


自分以外の大切な誰かの為に。