偽悪役者

昨日、卍擽が地取りを終えて所轄に戻ろうとした時、目にしたのは静音に指輪の箱を差し出す玲斗の姿だった。



「え?ほんと!?」


「断ったから。大体見たって…、卍擽先輩に関係ないですから。」



興味津々の橘に対し、興味無さげに静音は返す。


卍擽が怒っている理由も意味が分からないと、バッサリ切り捨てた。



「柊、潜入してくれとは言ったが、付き合えと言った覚えはないぞー?」


「だから、付き合ってません。断りましたー」



「とか言って、裏で繋がってたりしてな。」


「卍擽、根拠の無いことは控えろ。」



仁科が書類を見ながら取って付けた様な疑いにも律儀に返す。


しかし卍擽はまだ納得がいかないのか、厄塒に釘を刺されてもひねくれた態度だ。



「柊、本当に何もないんだよね?織端玲斗とは何も……」


「何もないです。」


「本当だね?」



「しつこいです。」



面倒くさそうにする静音とは対照的に、椎名は両肩に手を置き向かい合う程真剣だ。



「だって心配で。僕は柊のこと好きなんだ。だから……同窓会の時のこともあるし、織端玲斗と柊とが……。それにもし、織端玲斗が氷室岨聚を」