偽悪役者

「千影鏡鵺の方は?」



来栖は岨聚がいない間の補佐役として潜入している。


渋る総帥に窓口業務と同じく、犯人逮捕の為と協力を頼み込んだ。



「仕事は完璧です。支店長としても銀行内の上司としても。ただ女2人と違って、仕事の合間にも氷室岨聚の病室に足しげく通っています。」


「もしかして、内密に付き合ってるとか?」



「周りにさりげなく聞いたが、そっち方面の噂も事実もないみたいだ。まぁ、支店長と違って窓口は抜け出す訳にいかないし、面会時間もある。親しい間柄なだけかもしれないな。」


「そう、なんですか…」



橘はつまらなさそうな顔をしたが、見舞いに訪れている時間以外は仕事を全うしていて、心配している以外の様子は見られなかった。



「お前、織端玲斗とどういう関係なんだ?!」


「…聞こえてますから、そんな大声出さないでくださいよ。」



来栖達が報告し合っていると、廊下から卍擽の怒鳴り声と静音の鬱陶しそうな声が聞こえてきた。



「ど、どうかしましたか?」


「どうもこうもない!昨日、織端玲斗にプロポーズされてたんだ!俺はこの目でハッキリ見た。あれは間違いなく指輪の箱だった。」