偽悪役者

「つ~か~れ~た~」


「うるさい。」



潜入してから3ヶ月が経過した。


ぐったり机にのびる橘の疲労も、眉間に皺を寄せる来栖によって一蹴りされる。



「何か成果はあったか?」


「それが……」



要の問いに、椎名は困り顔で橘に目をやる。



「成果も何もあったもんじゃありませんよ!窓口っていったってお金扱うから超厳しいし、神経使うし。業務中に聞き込める状況じゃありませんよ~」



椎名は元総務課で会社員としても働いた経験がある為に、窓口業務もすんなりこなしている。


しかし、橘にとってはかなりの激務のようだ。



「蒜崖雅と伽虐琅提ですが、2人とも仕事は完璧、他の従業員ともトラブルもなく、仲良くやっています。仕事面で特に気になる点はありません。」



「仕事面、で…。仕事以外は何かありそうな口振りだが?」


「さっすが、要さん!厄塒さんと同じですよ。プライベート、特に氷室岨聚の件になるとみんな口が重くなって…。愛想笑いもいいとこです。」



「確かにな。警備員としても同じような感じだった。」



氷室岨聚に関しての銀行で働く者を含めた同級生達の反応は、一様に同じだった。