偽悪役者

『静音…?』



捜査用に支給された携帯で、静音は玲斗に電話をかけた。




「ホテルの人から電話があった。臨時に雇われてた応援のバイトなんだから、あまり騒ぎにしないでよ。」


『ごめん、つい。』



実際には、事情を知っている総支配人が対応したのでホテルでは騒ぎにはなっていない。


しかし、通常なら小さくも騒ぎになっているはずだと想定して話す。



『…今、どこで働いてるの?』


「今はフリー。探し中。」



『そっか。……岨聚のこと聞いた?』


「…うん。」



『警察が来てさ、アリバイ聞かれたんだ。鏡鵺達との二次会抜け出してホテルに行った後だから、アリバイ何も無くて疑われてるみたいなんだ。そっちは?』


「家に居た。一人だから私もアリバイはないよ。」



『だよね。鏡鵺達も酔ってて曖昧みたい。』



帰宅した岨聚以外の玲斗達4人の二次会。


他の3人曰く、玲斗が帰った後程なくして解散し帰宅途中で、しかも徒歩であった為に、犯行時刻のアリバイが曖昧なのだ。



同じ立場の方が合わせやすい為、静音は話ながらも素に近い、それでいて潜入とバレないように偽物の経歴を組み立てていく。