偽悪役者

「厄塒さんには関係ありません。」


「俺にじゃねぇだろ!事件に関係あるんだろうが!」



「ま、まぁまぁ。落ち着いてください。」



篠宮達に聞いた人物像より怒りやすい性格なんだと、なだめながら椎名は思う。



「柊、お前は織端玲斗を担当しろ。」


「私が?」



「一番まともに会話出来るだろ。」


「そりゃそうですけど……」



「決まりだ。」



否応なく、仁科によって決められてしまった。


玲斗も複雑なのだが、他の3人もやりにくいのは確かだった。



「支店長である千影鏡鵺には来栖、窓口業務の蒜崖雅と伽虐琅提には橘と椎名、篠宮には警備員になってもらう。要と仁科、厄塒にはそれぞれの代表として指揮と調整役だ。私は課長と共に全体の指揮と調整を行う。以上、捜査を開始する。」



「「了解!」」



それぞれが準備の為に動き始める中、静音は渡された名刺を見つめる。



「(間違ってるなんて分かってるのに……。ダメだね私達…。)」



切なく自問自答する。



誰の為と問われたら、きっと自分の為だと言うだろう。


弱虫で悪役になりきれず、不器用に無言を貫くしか出来ないのだから。