偽悪役者

「捜査方針と潜入対象が決まった。」



2日後、仁科と厄塒が資料片手に現れた。



「やはり氷室岨聚は突き落とされたことに間違いなかった。防犯カメラは運悪く故障中で、犯行時刻の映像はなかった。」


「銀行の防犯カメラが故障って……防犯意識低くありません?」



「故障が判明したのが帰る直前で修理屋に繋がらなかったらしい。非常階段だから、次の日でも良いと思ったんだと。」



橘の疑問は最もだが、修理屋が捕まらないのではどうしようもない。



「それで、潜入対象は?」


「同窓会にいたほとんどの者にアリバイがあった。二次会やら帰宅途中の新幹線やらでな。アリバイが不明なのは、織端玲斗、千影鏡鵺、蒜崖雅、伽虐琅提の4人だ。」



4人共、事件の時刻前後は家に居た等の曖昧なアリバイだった。


女の雅と琅提を含んでいるのは、偽装工作をした場合を考慮しての判断だ。



「氷室岨聚とはかなり親しい間柄のようだな。なぁ、柊?」


「ええ、まあ。」



「同級生達に聞き込んだんだがな、何か隠してんの丸わかりなんだよ。お前、何か知ってるだろ。」



いかにも何かあります、といった挙動不審な態度だった。