「萌奈〜!痛いってば〜!」



じとっと恨めしく見つめながら、ノートの切れ端をこっそりブレザーのポケットにしまう。


今はまだ秘密にしておきたくて、萌奈にバレたくなかった。



「わはは、ごめんごめん〜!菜花がビックリしたような顔で立ってるからさ」



「そ、そう?そんなことないよ」



何でもないフリをしながら、上履きを取り出して床に置く。


ローファーを脱ぐと、そっと履き替えてまた靴箱にそれをしまった。



ドキンドキンと鼓動が高鳴っているのは、ポケットに入れたノートの切れ端のせい。



こんな風に誰かに呼び出されたりするのは、初めての経験だ。



「どうしたの?顔が赤いけど」



「えっ……!?そ、そんなことないよ」



1月の真冬だというのに、熱がこもってパタパタと手で顔を仰ぐ。