「いいじゃん、出来ることがあるか聞いて来たのは琉衣なんだから」



「いや、まぁそうだけど。もっとなんかねーのかよ?甘いもん食いに連れてけとか、遊びに連れてけとか」



納得がいかなさそうな琉衣は、必死に色んな提案をして来る。


だけどね……そんなの無意味だよ。


だって、思い出がある分ツラさが増すから。


忘れたくないって、楽しさを感じる度に強く思ってしまうから。


だったら、最初からない方がいい。


思い出なんていらないんだ。



「ないよ。琉衣が琉衣のままでいてくれたら、それでいいから」



「なんだそれ、意味わかんねー」



「いいじゃん、ほら行くよ!」



今度こそ、あたしは琉衣の腕を強く引っ張った。