先のことを考えると、真っ暗闇の中にいるみたいに気分が沈む。


本当は……あたしは自分の現状を受け入れられていない。


認めたくないんだ、自分がなくなるなんて。



「菜花……!」



バスを降りて正面玄関から中に入ると、琉衣が駆け寄って来た。



「来てくれたんだ……?」



「ん?まぁ、ヒマだったしな」



「えへへ、ありがと」



琉衣といると、心にポッと火が灯ったみたいに温かくなる。


嬉しくてつい頬が緩んだ。



だけどそのあとに襲って来るのは、どうしようもないほどの悲しみ。



嬉しくて幸せなはずなのに、ツラくてツラくてたまらない。



だって……どうせ忘れちゃうなら意味がないでしょ?