ここ数年,父とは口をきいていない。
なぜか…そう聞かれても,答える事ができない。

カグヤは,イスに座り,トーストをかじった。



「行ってきまーす♪」

「行ってらっしゃい!
母さんも,後から行くからね!」

「はーい♪」

カグヤは,そう言ってドアを閉めた。

「今日もいい天気~♪」

軽く背伸びをしてから,自転車に跨がった。

天気がいい日は,鼻歌を歌いたくなるもの。
カグヤは,人目を気にせず,大きめの鼻歌を歌った。


──助けて


一瞬,か細い声が聞こえて,鼻歌を止める。