「ごめんねっ……」 わたしは涙をぐいっと拭った。 「泣くつもり、なかったんだけどね。」 ふわっと風が頭を掠め頬を包んだ。 季節はずれなあたたかいものが冷えきった わたしの唇をあたためる。 「奏、大好き。」 たとえ届かなくたって ずっとずっと君が好き。 ―涙の後にキスをして