Die or Live deadly

それから月日は流れ、夏。
樹乃は自分で思っていたより割と普通に生活していた。
普通にご飯を食べ、普通に大学へ行き、普通に友人関係を持ち、普通に生きていた。

翼咲とも予定が合わない時もあるが、2週間に1回は必ず会っている。
やっと馴染んできたワンルームの部屋で樹乃はほっと息をつく。
翼咲に貰ったラベンダーのお香をたく。

「いい香り〜」

そう言ってベットに寝そべる。
今日は翼咲が遊びに来る日だ。
何を話そうかなあと樹乃はわくわくしながらラベンダーに包まれた部屋で考える。

すると、望んでいる相手からの着メロが流れた。
バッと飛び起きると携帯に手をとる

「はーいもしもし!!」
「樹乃……樹乃ぉ!!!」

いつもの翼咲ではない。それは一瞬で分かることだった。
悲痛な叫びが電話越しに聞こえる。

「つ、翼咲!?なにがあったの!?」

知らず知らず大きな声を上げる。
心臓が飛び出そうなくらいに大きく脈を打っている。
翼咲は泣いているせいかすぐに返事を返さない。その沈黙でどんどん不安になる。

「じ、事故……で、おと、うさんと……おかあさ…んが…………っ!!」

一気に背筋が凍る。
おばさんとおじさんが…?
よく遊びに行ったりしていたので樹乃も、良くお世話になっていた。

「今どこにいるの!?」
「病院……っこの街の…おお、きい」
「すぐ行くから!待ってて!!」

樹乃は雑にバックを掴み取り電気を消すのも忘れて走った。