二人の小林君


ライブに参加した次の日の日曜日。

今日は部活が休みなみゆきと一緒に気晴らしをかねて街で買い物をすることになった。

ライブ会場から家に帰って小林君とのことを相談するためにみゆきに電話をしたら「明日は気晴らしに出かけよう」と誘ってくれた。

きっと家でじっとしてたら考えこんで暗くなっているはず。

みゆきには本当にありがとうって思うことばかりだな……。

お店では気に入ったヘアアクセサリーをお揃いで買って、みゆきがついでに部活に必要な物を買うというので私達はスポーツショップに来ている。

みゆきが言うにはこの辺りのスポーツショップでは一番品揃えが多く、このお店でほとんどの物が買えちゃうらしい。

「色んな物があるんだね」

「香織には珍しい物だらけでしょ?」

「うん。グローブとかバッドとかなら分かるけど……」

近くの棚に置いてある物と名前を見てもどう使うのかよく分からない。

運動は嫌いじゃないけど、中学は調理部だったし今は帰宅部だからスポーツ用具とかはあまり詳しくない。

買う物が決まっていたのか、みゆきは私がお店の中をうろうろしている間に会計をすませていた。

両手に重そうなビニール袋を持っている。

「重くない?」

「これなら大丈夫。顧問の先生が学校にいるから取りに来てくれるって」

「それじゃあ先生が来るまでお店の外で待ってよう? 一つは私が持ってるよ」

私はみゆきが左手に持っていた袋を右手で持って入り口に向かって歩き出す。

「ありがとう」と笑うみゆきに「どういたしましてー」と返して自動ドアをくぐった。