話が途切れてゴミ袋の口を結ぶ様子をぼーっと見ていたら、袋の口を結び終わった小林君が体ごと私と向き合うように動いた。

「グッズ買ったんだ?」

私が持っている袋を見たのかそう聞いてきた小林君に頷いて袋を持ち直す。

袋がガサリと音をたてた。

「そんなに小林優斗が好きなの?」

「えっ?」

「ライブに来るぐらいだからそうなのかと思って」

じっと見下ろしてくる小林君に言葉がつまる。

まさかきっかけが小林君に似てるからなんて言えないし……!

何て言おうか地面を見ながらぐるぐる考えているとため息が近くで聞こえて思考が止まる。

「多田さんも他の女子と同じだったんだ」

え……?

冷たい声に体が震える。

「俺に近づいても小林優斗には会えないよ」

「そんなつもりじゃ……っ」

勢いよく顔をあげると無表情に見える小林君がいて体の熱が一気にひいていく。

こんな表情を向けられるなんて思ってもいないしいつも助けてくれるみゆきもいない。

どうしよう、どうしようといくら思ってもどうすることもできなくて視界がジワリと歪んで小林君の姿も見えにくくなって。

「今度ライブ会場とかで見かけても話しかけないでほしい」

もう一度ため息をこぼしてそう冷たく言った小林君にやっぱり何も言えなくて。

ただ一つ分かるのは小林君に嫌われたかもしれないってこと。

私は足音が遠ざかって聞こえなくなるまでその場から動けなかった──。