どうしたんだろうと見上げていたら目がキュッと細められて。
「好きだよ」
「……!」
「一年の時から香織のことが好きだ」
「なっ、名前……!」
好きの言葉にも驚いたけど名前で呼ばれたことにも驚いてキョロキョロしてしまう。
「嫌だった? 俺は両思いでつき合えるんだって思ってるんだけど」
首を傾ける小林君の片手を握る。
「嫌じゃないよ。私も、すっ、好きだから……っ」
お店で聞かれてたと思うけど改めて言うのはすごく緊張する。
途切れ途切れに気持ちを言い切ったその後に、小林君はとびきりの笑顔で「これからよろしく」って私をギュッと抱きしめてくれたんだ。
──同じクラスの小林君は優しい人。
好きになったきっかけは助けてもらって優しい笑顔を向けられたこと。
アイドルの小林優斗君はキラキラしてて優しそうな王子様みたいな人。
優斗君を知ったのは偶然で、興味を持ったのは小林君と優しそうな笑顔が似てると思ったから。
だけど直接会ったら色々なところが見えて優斗君には優斗君なりの素敵なところがあるんだろうなって今なら思う。
これからは心の中でこっそりと応援させてもらおう。
私にとって一番の男の子はやっぱりこれからも同じクラスの小林君だから──。

