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放課後、部活があるみゆきにバイバイした私は先に下校して街に来ていた。

今日は予約していた優斗君のアルバムの発売日。

このアルバムを買ったら優斗君関係のグッズを買ったりライブ参加はもうおしまい。

コンビニのアルバイトはこのまま続けて貯金でもしよう。

そう思いながらCDショップに入ると「いらっしゃいませー」と聞き慣れている店員さんの声。

予約商品だから真っ直ぐレジに行こうとしたら後ろから名前を呼ばれて振り返った。

「やっぱり香織ちゃんだ」

「え……?」

レジから真っ直ぐの位置にある棚の前にいる男の人が笑顔で手を振っていて。

見たことのある人に私は振り返った格好で固まってしまう。

何で優斗君がここに!?

「優斗、知り合いなのか?」

優斗君の隣に立っているスーツ姿の男性が険しそうな顔をして優斗君に聞いている。

優斗君は笑顔のまま「そんなところです」と返して私に手を振り続けていて、男性の顔が余計に険しくなっていく。

あの男の人すごい怒ってるみたいだけど大丈夫なのかな……?

そろそろと近づいてみれば男性の威圧感がすごくて怖い。

優斗君はまったく気にしていないみたいだけどマネージャーさんとかなのかな?

「今日発売のアルバム買いにきてくれたの?」

「あ、はい。予約していたので」

「本当に? 買ってくれてありがとう!」

目を丸くした優斗君はすぐにくしゃっとした笑顔に変わる。

今まで見たことのない優斗君の笑顔にビックリ。

男性は私がアルバムを買いに来た人と分かったからか険しい顔を止めて笑顔になって。

「優斗を支えて下さってありがとうございます」

「あ、いえ……」

その変わりようにもちょっとビックリ。